公園の池にスワンボートがある理由

日本で大きめの公園や観光地の池や湖には、白鳥を模した形状の「スワンボート」と呼ばれる遊覧用の足漕ぎボートがある場合が多い。

スワンボート

なぜ日本中の公園の池や湖にはスワンボートがあるのか。それは群馬県邑楽郡明和町のボートメーカー株式会社スナガにより、白鳥を模したスワンボートが開発されたことがきっかけである。

第二次ベビーブームに沸いていた1974年(昭和49年)、家族で楽しめるレジャーとしてボートは大盛況だった。当時34歳で同社の若手専務だった砂賀良夫(すなが よしお)は子ども達が喜ぶボート作りに励んでいた。

その当時は手漕ぎボートに加えて、船舶免許がなくても乗れた小型エンジン付きのモーターボートが人気だった。しかし、モーターボートの事故が相次ぎ、同1974年(昭和49年)の法改正により動力付きボートの操縦には小型船舶操縦士の免許が必要になった。

これにより水辺からモーターボートを楽しむ子ども達の姿が消えた。そんな中で良夫は、陸上では観光地などで自転車に乗るサイクリングが盛んなことに注目し、1975年(昭和50年)に自転車のように足で漕いで進む「足漕ぎボート」を開発した。

足漕ぎボート

しかし、デザインが地味なこともあり人気は出なかった。子どもが親しめるデザインはないかと考えていたところ、会社の近くにある多々良沼で白鳥が飛んで来る姿を目撃した。これをきっかけとして、1981年(昭和56年)に白鳥の形をした足漕ぎボート「スワンボート」が誕生した。

最初は人気が出なかったが、ボートの後ろ側に白鳥の尻尾を付けたことで人気を集め、スワンボートは大ヒットした。スワンボートは製造が間に合わないほどで、その後にパンダやコアラを模した足漕ぎボートも開発され人気となった。

足漕ぎボート(パンダ)

スワンボートの誕生から40年が経過した現在でも、当時と同じようにスワンボートは一つ一つ手作りされている。日本中の池や湖にスワンボートがあるのは、このような足漕ぎボートの開発の過去があったためである。

リンクスナガWikipedia

2021/9/15

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カテゴリー「乗り物

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