寿司屋などでお金を払いたい時に、店員に「お会計」と言う人と「おあいそ」と言う人がいる。この二つの言葉の違いについて確認してみる。
「お会計」と「おあいそ」は同じような使われ方がされるがやはり違いがある。お金を支払うということについては同じ言葉の意味だが、使い方が違う。「お家計」は客が店員に対して使う言葉である。一方、「おあいそ」は店員が店員に対して使う言葉である。
つまり、「お会計」は客が使う言葉、「おあいそ」は店員が使う言葉となる。「おあいそ」という言葉は本来は客が店員に対して使う言葉ではなく、その使い方は間違いとなる。
「おあいそ」は漢字で「御愛想」と書く。この言葉は江戸時代に芸者がいる料亭で使われていた。「おあいそ」は客が帰る際に芸者がその料亭の女将に「最後に客に挨拶して愛想をふって下さい」という意味で「おあいそお願いします」と使っていた言葉である。つまり、「おあいそ」は店の人が店の人に対して使っていた。
女将が「おあいそ」をする時に「会計」も一緒にすることから、いつしか「おあいそ」が「お会計」の意味になった。店の人が使う「おあいそ」という言葉をそのまま客が使うようになり、現在では「おあいそ」と言って会計をする人がいるというわけである。
「おあいそ」は「飲食店などで勘定をすること」の意味の他にも「実のあるもてなしをすること」や「人の喜ぶようなことを言うこと」「お世辞」などの意味がある。
ちなみに、寿司屋で間違った使い方をしている可能性がある言葉が「あがり」である。お茶をほしい時に「あがり下さい」と言う場合があるが、「あがり」も本来は店員が店員に対して使う言葉である。
「あがり」という言葉ももともと芸者がいる料亭で使われた言葉で、芸者が「お茶を持って座敷にあがる」ことから「芸者」のことを「おあがりさん」と呼んでいた。その後、店の中で「お茶」自体のことを「あがり」と呼ぶようになり、これを真似して客が店員に対して使うようになった。
リンク:コトバンク
2024/9/28
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