「トレーナー(trainer)」は、スポーツをする人などが体を冷やさないために着る練習用の上着のことを意味し、日本で生まれた和製英語である。
「トレーナー」は、伸縮性や吸汗性、防寒性に優れた厚手の生地で、「スウェット」や「スウェットシャツ」「ジャージ」とも呼ばれる。現在では、スポーツをする時以外でも部屋着など日常生活の中で広く用いられる。
「スウェット」とは、「汗」の英語である「sweat(スウェット)」がそのまま名前になっており、プルオーバーのシャツは「スウェットシャツ」、パンツは「スウェットパンツ」と呼ばれる。
これら「スウェット」や「ジャージ」の衣服は名前は異なるが、基本的に使用される生地は全て同じものである。「トレーナー」という名前は、高度経済成長期にあたる1960年代に活躍したファッションプロデューサー・石津謙介(いしづ けんすけ、1911~2005年)が名付けたとされる。
「トレーナー」は、本来はアメリカでスウェットシャツ(sweatshirts)と呼ばれた衣服である。日本語に直訳すると「汗シャツ」となるが、石津はこの服に「トレーナー」という名前を付けた。
石津は大のボクシングファンで、選手を訓練・指導するトレーナーの人たちがスウェットの上下を着ていた。これを見た石津はスウェットの商品を自身のメーカーから「トレーナー」という名前で発売した。
当時の男性向けファッション雑誌『MEN'S CLUB(メンズクラブ)』(1966年5月53号)において、スウェットは「日本ではトレーナーと呼んだ方が通りが良い」と紹介されており、このトレーナーが売れたことでその名前は日本中に広まっていった。
株式会社ヴァンヂャケット(VAN Jacket inc.)の創業者であり、日本における「アイビールック」の生みの親でもある石津謙介は、他にも日本に数多くの言葉を広めた。
その一例として、「時・場所・場合を考慮して」という意味で用いられる「TPO(Time、Place、Occasion)」や「Tシャツ」「スタジャン」「スウィングトップ」「ステンカラーコート」「カジュアル」「ヘビーデューティー」「キャンペーン」「プレミアム」などがある。
2021/10/22
カテゴリー「語源・由来」