けん玉は日本に古くからある遊びだが、今驚きの進化を遂げ世界中で大ブームとなっている。アクロバティックな技・超難度な技など、その数は3万種類以上にもなる。
世界的なブームにもなっているけん玉だが、スポーツ選手の間でも意外な理由でブームになっている。その理由とは、集中力を上げるのに役立つためである。レスリング選手で「霊長類最強女子」の異名を持つ吉田沙保里も、けん玉を練習に取り入れている。そのほか、小学校の授業の合間などでも、集中力アップの目的でけん玉が取り入れられている。けん玉に集中できる子は授業の集中度もやはり高いという。
そんなけん玉で、集中力を最もアップさせる技は、童謡「うさぎとかめ」の曲を使った「もしかめ」である。これは「うさぎとかめ」の「もしもし かめよ かめさんよ♪」のリズムに合わせ、大皿と中皿に玉を交互にのせる基本的な技である。集中力をアップさせる理由には技の難易度が関係している。
集中力をアップさせるポイントはけん玉をしている時の脳の活動にある。けん玉をしている時には「脳の司令塔」と言われる「前頭前野」の活動が極端に抑え込まれている。この状態は脳が一つの事に集中している時に起きる現象である。一流アスリートが究極の集中状態にある時も前頭前野の活動が抑制されている。
つまり、けん玉をして前頭前野の活動を抑える感覚を覚えさせる事で、けん玉以外でも集中状態に切り替えができるようになる。しかし、けん玉は難しい技をやろうとすると、逆に脳が活発化してしまい集中できない。「もしかめ」のような基本的な技を繰り返し練習する事で、いつでも一定のリズムでやれる慣れた状態になると前頭前野の活動が抑えられ、余計な事を考えず脳が集中できる。
2018/11/8
カテゴリー「生活・科学」