ユニクロや世界の高級ブランド、さらに宇宙服まで支える技術が和歌山県和歌山市にある。それは立体的に縫い目のないニットを作る株式会社島精機製作所の機械である。
島精機製作所の工場では1本の糸から縫い目なしで編む「自動ニット編み機」を製造している。この自動ニット編み機で同社は世界シェア100%を誇っている。ユニクロのCMにも同社の編み機が登場し、冬の人気商品である3Dニットの製造にも使用されている。
一般的なニットの製法は前・後・袖とパーツを別々に縫い合わせていくが、同社の編み機は1本の糸から1着まるごとの状態で立体的なニットを編むことができる。この縫い目のないニットは宇宙服にも採用された。
2010年にスペースシャトル・ディスカバリーで宇宙に行った日本人女性2人目の宇宙飛行士・山崎直子さんも宇宙でこのニットを着て作業を行った。これには無重力という宇宙の環境が大きく関係している。
宇宙では重力で体が潰されないため、背中が地上でいる時よりも伸びて身長が少し高くなる。JAXAによると大体1~2cm、中には7cmも身長が伸びた人もいるという。この体の変化に対応してできたのが縫い目のないニットの宇宙服だった。
縫い目がない事で、より伸縮性に優れ、体の動きが妨げられる事がない。山崎さんも肩の縫い目がない事で上腕が動かしやすく、宇宙でとても着心地が良く、作業しやすかったと感想を述べている。縫い目のないニットが宇宙服に採用されたのは、宇宙という特殊な環境に対応できるためだった。
リンク:島精機製作所
2018/11/13
カテゴリー「生活・科学」