1800年頃に江戸前寿司が誕生してから、たった一度だけ日本中から寿司屋が本当に消滅したことがある。それは日本の戦後の歴史と関係がある。
第二次世界大戦中および戦後、日本は大変な食糧不足で米などが配給制になっていた。そんな状況下で寿司屋も通常の営業ができなかった。外食することも制限され、外食するための「外食券」という食券が発行されていた。
そして、1947年(昭和22年)にGHQが一括管理をして、配給制であった外食券食堂以外を営業停止にした。外食券食堂とは外食券を持つ人に食事を提供する食堂や旅館、喫茶店などで、GHQの指示で寿司屋は営業停止となった。
日本人は寿司が好きだが、GHQの統制に逆らうことはできないため、「米を持ってきてもらい、それを加工する」という「委託加工」を始めた。自分の店は寿司を出しているわけではない。そういった形で営業を続けた。当時、米一合を持って行くとその米は寿司屋が預かり、前もって炊いてあった米で寿司を握ってもらえた。
それが握り7貫と巻物3本のような内容の寿司だった。久しぶりの寿司にみんな美味しそうに食べたという。しかし、マグロやヒラメなど良い寿司ネタは手に入らなかったため、マスやフナなどの川魚や時には蒲鉾まで握り、工夫しながら寿司を出していた。
戦後の厳しい食糧事情の中、今では定番のある寿司が生まれた。それが「かっぱ巻き」である。夏場その辺にあったキュウリをマグロやかんぴょうの代わりに巻いたところ、海苔との相性が良かった。かっぱ巻きは戦後の苦境の中で誕生したと言われている。
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2019/3/9
カテゴリー「食べ物」