クレームがきっかけで美味しくなった食べ物

平成に大ブームとなった「生チョコ」やお菓子の「柿の種」は、クレームがきっかけで美味しく食べられるようになった。

生チョコについて

「生チョコ」は日本生まれのスイーツとも言われ、神奈川県茅ヶ崎市にあるル・ショコラ・Bunzooのオーナーシェフ小林正和氏が1986年(昭和61年)に考案したとされる。体温で溶ける、口の中で溶けるような滑らかさのあるチョコレートを作ろうと考え、生チョコが生まれた。そんな小林氏が考案した生チョコを全国のスイーツ店が研究し、次々に商品化して一大ブームとなった。

生チョコ

しかし、生チョコブームの陰で「やわらかいと聞いていた生チョコが硬い」などのクレームが多発した。それは生チョコブームに便乗して「生チョコ」と称した粗悪品が激増していたためである。

あまりのクレームの多さに危機感を抱き、チョコレート業界が作ったのが「生チョコレートの定義」である。その定義は、チョコレート生地が全体量の60%以上、クリームが全体量の10%以上、水分量が全体量の10%以上などである。「生チョコ」と表示できる基準を明確にしたことで、日本中でクオリティーの高い美味しい生チョコが食べられるようになった。

リンクル・ショコラ・Bunzoo

柿の種について

「亀田の柿の種」もクレームがきっかけで美味しくなった食べ物である。柿の種とピーナッツの比率は永遠の問題で、その比率はあるクレームがきっかけで誰もが納得する割合に決まった。

亀田の柿の種

2013年(平成25年)のある日、亀田製菓に「柿の種に対してピーナッツはもっと少ないほうが美味しい。8:2の比率にしてほしい」との一本の電話があった。この電話をきっかけに国民に柿の種とピーナッツの黄金比率を問う「国民投票キャンペーン」を実施することになった。

約10万人が参加したという投票の結果、1位が7:3で28.5%、2位が5:5で23.9%で、半数以上がこの2つに集中した。そこで最も多くの人が納得できるように1位と2位の間を取り、柿の種:ピーナッツの黄金比率は6:4に決まった。

このクレームを入れたのは女優・タレントのYOUである。最初はいつも行くコンビニに「亀田の柿の種 6袋詰」がなくなり、それを心配したコールセンターへの問い合わせだった。

そして「比率は8:2がよい」などと熱く語っているうちに、「それでは多くの人に聞いてみましょう」という話になり、その流れでYOU自身は国民投票キャンペーンのメインキャラクターに就任している。残念ながら8:2の人気は4位という結果に終わったが、このクレームがきっかけとなり柿の種は美味しく進化した。

リンク亀田の柿の種

2019/6/5

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