「渦巻き型蚊取り線香」の誕生物語

夏の風物詩の一つでもある「蚊取り線香」。蚊取り線香は日本で生まれたもので、今では世界中の人々に使われている。

蚊取り線香

蚊取り線香が世界で最初に発売された1890年(明治23年)当時、その形は渦巻き型ではなく、仏壇の線香と同じ真っ直ぐな棒状だった。そもそも蚊取り線香はなぜ蚊を駆除できるのか。

蚊取り線香にはピレトリンという虫を殺す成分が入っている。その原料は除虫菊(ジョチュウギク)とも呼ばれるシロバナムシヨケギクである。蚊取り線香を燃やすとその熱でピレトリンが気化して、煙によって空気中に広まり、飛び回る蚊を駆除できる。

今でこそ渦巻き型の蚊取り線香は当たり前だが、その形になり商品化されるまでには長い年月がかかった。蚊取り線香を発明したのは、「金鳥」の商標で知られる大日本除虫菊株式会社の創業者・上山英一郎(1862~1943年)である。棒状の蚊取り線香は長さ20cmで、燃焼時間は約40分と短かった。棒状の線香を単に伸ばしただけでは、折れやすい上に、燃焼中に倒れる危険もあり安全とは言えなかった。

1895年(明治28年)のある日、英一郎の妻ゆきが、とぐろを巻いたヘビを見つけた。その形にヒントを得て渦巻き型の蚊取り線香の開発が始まった。しかし、渦巻き型の線香を手で作るのは難しく、時間もかかった。そこで、原料を渦巻き型の木型に入れて作る方法も試したが、原料が乾くまで木型から取り出せず、木型が大量に必要で大量生産には不向きだった。そんな試行錯誤の結果、2本の線香を渦巻き状に巻くことを思い付き、現在のような渦巻き型の線香が出来た。

そして、ヘビのとぐろを見てから7年後の1902年(明治35年)に渦巻き型の蚊取り線香が発売された。その線香は長さ60cmで、燃焼時間は約6時間だった。当時の線香の作り方は、棒状の柔らかい2本の線香を熟練の職人が手で渦巻き型にするというもので、職人により1個数秒で作られた。

こうして誕生した渦巻き型の蚊取り線香は、日本だけでなく、海を越えて世界中で使われるようになった。今ではその作り方は機械による自動化がされ、確かな効き目が約7時間も持続する。蚊に刺されることでマラリアなど命の危険のある感染症にかかる心配のある国々では、蚊取り線香は欠かせないものとなっている。

リンク大日本除虫菊Wikipedia

2019/8/17

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カテゴリー「歴史・文化

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