ホテルに泊まる時に宿帳を書く理由

ホテルや旅館などの宿泊施設に泊まる時、「宿帳」(宿泊者名簿)に記帳する。そこには宿泊者の氏名や住所、生年月日、電話番号、職業など詳しく書く必要がある。

ホテル

宿帳を書くのは、忘れ物があった時など、何か宿泊者と連絡を取る必要がある場合の連絡先として使用されると思われがちである。しかし、本来の目的は伝染病や食中毒などの「感染症の拡大を防ぐため」である。

ホテルや旅館などの有料宿泊施設の運営などを定めた「旅館業法」という法律がある。この法律によるとホテルや旅館の営業者は宿泊者名簿を備え、氏名・住所・職業などを宿泊者に記載してもらうこととされている。

宿帳は江戸時代には既に存在していたことが分かっている。当時の藩によりその決まりは様々だが、主に宿泊した人の身元確認のために記入させていたという。その後、長らく宿帳は身元確認のためのものだった。

転機が訪れたのは1948年(昭和23年)のことで、終戦の混乱の中で、日本人の死因のトップは感染症だった。そこで少しでも感染症の拡大を防ぐため、宿帳に記入させることが法律で義務付けられた。感染症の原因がはっきり分からない上に、予防法や治療法も確立されておらず、感染の拡大を最小限に食い止めるために宿帳は有効な手段だった。

感染症が発覚した場合、保健所に宿帳を提出する。そして、宿泊施設と保健所が協力して、その宿帳の情報をもとに電話などで宿泊者に連絡を取り、全体的な感染状況の把握に努める。さらに、感染者が複数の施設に宿泊していた場合には宿帳をたどることで、感染ルートの特定もできる。

実際、2000年(平成12年)に生カキを食べた124人がノロウイルスに感染し、その食中毒は12都府県以上で同時期に発生した。この時、宿帳をもとに感染源を特定し、更なる感染拡大を防ぐことに成功した。

このように宿泊施設に泊まる時、宿帳に氏名や住所を記入するのは、感染症の拡大を防ぐためである。現在では、警察の犯罪捜査で、容疑者の動向を把握するために使用されることも多い。宿帳への記入は宿泊者の義務であり、宿泊する時には必ず記入する必要がある。

リンクWikipedia

2019/9/4

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カテゴリー「生活・科学

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