授業中のノートへの落書きは、真面目に授業を聞かず、やる気がない証拠と思われがちである。しかし、落書きをすると記憶力が上がるという研究結果もある。
『走れメロス』や『人間失格』などの作品で有名な小説家・太宰治(1909~1948年)は、子どもの頃から成績優秀で東京帝国大学(現:東京大学)に進学した秀才である。そんな太宰の大学時代のノートが2013年に公開された。そこには優秀な学生らしからぬ落書きの数々があった。
太宰は男性の顔を描くのが好きだったようで、複数のページに男性の顔の落書きが見られた。また、憧れていた「芥川龍之介」の文字も多数書かれていた。しかし、落書き行為はある意味で成績優秀の証でもあるという。
2009年のイギリス・プリマス大学の実験によると、名前や場所を覚えてもらう記憶実験において、落書きをしながら記憶したほうが約3割も多く言葉を記憶していたという実験結果になった。つまり、落書きをするほうが記憶力が高まったという結果である。
特に楽しいと思いながらする落書きは、脳内で神経伝達物質のドーパミンが出て、記憶力が強化されると考えられている。
もちろん授業は真面目に聞いてノートを取るのが一番だが、集中できない時は落書きをすると脳が活性化される。一見さぼっているように見える落書きという行為にもメリットがあり、落書きは一概に悪いとは言い切れないようである。
2019/9/17
カテゴリー「生活・科学」