「菊」は葬式や墓参など仏花として用いられることが多い。そんな葬式などのイメージが強い菊が、この数年で急激にオシャレ化している。
これまでの白や黄色だけでなく、赤やオレンジ、ピンクなど、年間100種類以上の新種の菊が誕生している。もともと菊は地味なイメージがあるが、それを一新する逆転の発想で様々な色や形の菊が開発されている。
カラフルな新しい菊を開発するのにはある明確な目標がある。それは2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」を見据えたものである。
オリンピックではメダリストに副賞として「ビクトリーブーケ」(勝利の花束)と呼ばれる小さな花束を渡すという習慣があった。しかし、生花が日持ちしないことや検疫で自国に持ち帰れないことなどの理由から、2016年のリオデジャネイロ大会ではビクトリーブーケは行われず、代わりにリオ五輪のロゴマーク型のメダルスタンドが贈呈された。
2020年の東京大会ではこれをもう一度復活させようという動きがある。その時に何の花を選ぶかとなった時に、国花ともされ、夏の暑さにも強い「菊」が候補に挙がった。国花とは、その国民に愛され、その国を象徴する花である。日本では法で定める国花はないが、国民に広く親しまれている桜や菊が事実上の国花として扱われている。
また、菊は1964年の東京オリンピック開会式において、聖火台へ昇る階段を彩ったという歴史もある。そんな菊はビクトリーブーケとしての採用を目指している。その時に白と黄色だけでは地味だということで、様々な色や形が開発されている。
2019/9/20
カテゴリー「生活・科学」