乾電池には幾つかの大きさがあり、日本では単1・単2・単3・単4と呼ばれる。この「単」とは何の意味なのか。
乾電池はその形状・電圧などが規格化されていて、「単1形」から「単6形」までと「9V形」がある。このような電池を「単位電池」と言い、これは「1つで済む電池」という意味である。
1934年(昭和9年)頃まで使用されていた電池は主に「積層電池」という複数の乾電池を1つにまとめたものだった。最近では見かけなくなったが、これは複数の電池を直列につなぎ、高い電圧にしたものである。当時、懐中電灯やラジオなどの乾電池を使用していた電化製品は消費電力が大きく、1本の乾電池ではまかないきれなかった。そのため、乾電池は複数の電池をひとまとめにした「積層電池」として販売された。
しかし、戦後、電化製品の省エネルギー化と乾電池の性能向上により、乾電池1本でも作動できるようになった。この1本の乾電池は複数を積み重ねる「積層電池」に対して、1つで済む電池という意味で「単位電池」と呼ばれた。これを略して「単1電池」「単2電池」という言葉が生まれ、さらに略されて「単1」「単2」などと呼ばれている。
ちなみに「単3乾電池」や「単3」と呼ばれる電池には「単3形」と表記されている。また、これらは日本だけの呼び方・表示方法で、アメリカでは単1形は「D」、単2形は「C」、単3形は「AA」、単4形は「AAA」と表記されている。
今では当たり前のように使っている乾電池だが、世界で初めて乾電池を発明したと言われているのは日本人で、時計技師だった屋井先蔵(やい さきぞう、1864~1927年)とされる。
屋井は1885年(明治18年)に「湿電池」で動作する「連続電気時計」を発明したが、当時の電池は手入れが必要なこと、冬場は電池の液が凍結するため使用できなくなることなどの問題があった。そこで、屋井は電池の開発に取り掛かり、1887年(明治20年)に「乾電池」の発明に成功した。その後、日本国内の乾電池シェアを掌握し、屋井は「乾電池王」とも呼ばれた。
2019/9/14
カテゴリー「生活・科学」