日常生活で私たちが目にする地図はどれも北が上になっている。これには大航海時代の歴史と夜空に輝く星が関係している。
そもそも地図は使う人にとって便利であればよく、地図は北が上だと便利だった。人が北を上にして地図を作り始めたのは大航海時代だと言われている。その当時、人は大海原で自分がどこにいるか分からない状況になり、不安な夜を過ごした。そんな時に頼りにしたのが夜空に輝く星であり、海の上で方角を知る目印にしたのが北極星だった。
大航海時代より前には、方角は太陽を目印にしていたという。しかし、太陽は時間とともに移動してしまい、夜には見えないため、大海原で方角を知る方法として不十分だった。
そこで見つけたのが北の空に動かずに輝き続ける北極星だった。北極星は偶然にも地軸の延長線上にあるため、地球が自転しても止まって見える。他の星は円を描くように移動して見えるのに対して、北極星はその中心で動くことはない。また、偶然にも地軸の延長線上が真北を向いていた。これにより動かない北極星の目印が真北にあるという奇跡が起きていた。
さらに北極星は地球から約430光年も離れているため、地球の公転による誤差が小さく、どの季節でも同じ位置に見える。この北極星があるからこそ、地図は北を上にすると便利だった。北が上になった地図があれば、地図の上を北極星に合わせることで自分の行きたい方向が分かる。
このように北の空には北極星があり、地図は北を上にしたほうが使いやすいことが、北が上の地図が広まった理由である。
歴史的に見ると中世の世界地図は、ヨーロッパでは東が上、イスラームでは南が上、中国では北が上と様々だった。また、1970年代には南半球のオーストラリア人が北が上の地図に反発して、南が上の独自の地図を発表したという歴史もある。
2019/9/6
カテゴリー「地理・地名」