日本で一番短い川は、世界文化遺産の熊野古道を有する和歌山県の那智勝浦町にある。その川の名前は「ぶつぶつ川」で、全長13.5mである。
同町の粉白(このしろ)地区に流れるぶつぶつ川は、水が湧き出る源流地点が川の始まりで、川の先は別の粉白川へと流れ込んでいる。2008年(平成20年)に県により二級河川に指定され、国・都道府県が管理する川の中で日本一短い川となった。
「ぶつぶつ川」という名前は、きれいな湧き水がふつふつと湧き出ている様子や、水が湧き出る時に空気の泡がぶつぶつと出てくる様子に由来するとされる。近所の人たちは採れた野菜を洗うなど、生活用水として利用している。日本一短い川は地元の人の生活に欠かせない川となっている。
日本で一番落差のある滝は、同じく那智勝浦町にある。場所はぶつぶつ川とは離れているが、同町の那智川中流にかかる「那智の滝」が日本一落差のある滝である。その落差は133mで、栃木県の「華厳の滝」や茨城県の「袋田の滝」と並び「日本三大名瀑」に数えられる。
古来から「水しぶきに触れると延命長寿の霊験あり」と謳われたこの滝は、熊野那智大社の別宮・飛瀧(ひろう)神社の御神体として祀られている。ユネスコの世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部であるほか、国の名勝にも指定されている。
ただし、滝には滝つぼまでまっすぐ水が落ちる「直瀑」と、階段状に水が落ちる「段瀑」がある。那智の滝は一段の滝である直瀑として日本一の落差を誇る。段瀑を含めた日本一の滝は、富山県の立山町にある「称名滝」(しょうみょうだき)である。
立山連峰を源流とする称名滝は四段に分かれた段瀑で、水煙を上げながら流れ落ちる。その落差は350mで、東京タワーをも超える高さから落ちる、世界に誇る滝である。
さらに、日本一の落差を誇る滝には、期間限定で現れる「幻の滝」もある。それは称名滝の右隣に、雪解け水が多く流れ込む春などの時期にだけ出現する「ハンノキ滝」である。その落差はなんと497mであり、称名滝よりもさらに大きい。だが、いつも存在している滝ではないとして、日本一の落差の滝として認められないことも多い。
このように、日本一落差のある滝はその条件により変わる。
2019/9/9
カテゴリー「地理・地名」