「あれ?携帯どこやったかな~」「え~と、スマホ、スマホ」と探し物をする時には自然と独り言を言ってしまうものである。
独り言を言うのは心理学では「退行」(たいこう:regression)と呼ばれ、脳の働きが子どもの頃に戻ってしまう現象である。
子どもは脳が未発達のため、物事を考える時に手を動かす「動作」や声を出す「発声」をしないと考えがまとまらない。例えば、数を数える時、子どもの時は黙って頭の中で上手に計算ができない。そのため、「1つ、2つ、3つ…」と物を動かしたり、声に出したりしながら考えることで、数を認識している。
大人でも強い不安や焦りを感じると、退行現象で脳が子どもの頃に戻り、つい独り言を言ってしまう。また、退行現象には記憶を呼び戻すにはよい効果があるとされる。それは退行現象で独り言が出ると、脳が活性化されるというもので、これにより探し物の場所を思い出しやすくなるという。
つまり、探し物をする時に独り言を言ってしまうのは、子どもの頃に戻る「退行」と呼ばれる現象で、独り言を言うことで脳が活性化され、探し物を発見しやすくなる効果が期待できる。
2019/10/13
カテゴリー「生活・科学」