宇宙服とは、宇宙飛行士が宇宙空間で安全に生存・活動するために着用する、生命維持装置を備えた気密服のことである。
スペースシャトル用にアメリカが開発した「船外活動用宇宙服」(Extravehicular Mobility Unit:EMU)は、1着の値段が約10億5000万円である。
その内訳を見てみると、生命を維持するための背中の装置が多くを占めている。それは「生命維持装置」で酸素タンクや通信設備など、宇宙空間で作業するための装置が備わっており、この生命維持装置だけで約9億5000万円もする。そして、「スーツ」は上下セットで約1億円である。
宇宙服のサイズの関係から、船外活動に携わる宇宙飛行士は165cm以上の身長を求められる。一方で、宇宙服は各パーツ毎にいくつものサイズが用意されており、宇宙飛行士の体格に合わせてパーツを交換する。グローブは宇宙飛行士毎に用意され、片方で約220万円する。
宇宙服には秘密があり、14枚の生地を縫い合わせて出来ている。14層の厚い生地にすることで有害な宇宙線から保護したり、宇宙ゴミがぶつかった時に酸素が漏れるのを防いでくれる。特殊な生地のため、職人がミシンにより一つ一つ丁寧に作業をして作られる。
その見た目から宇宙服を着ると暑そうだが、スーツの下着層にはチューブが縫い込まれており、そこに水が流れ、その冷却効果で体温が上昇するのを防いでいる。そのチューブの長さは84mにもなる。
宇宙服は頭部・胴体・足の3つの部分に分解できる。一人で着ることはできず、他の人に助けてもらわないと着ることができない。そのため、着るのに比較的時間がかかる。また、宇宙服は一度着るとなかなか脱げないため、宇宙飛行士は宇宙服の中でオムツを着用している。
その他、宇宙服に付いている温度調節などの切り替えスイッチの文字や数字は、鏡に映したように左右逆になっている。これは宇宙服の中に入った状態では、頭を動かしてスイッチを見ることができず、腕に取り付けられた手鏡に映して見るためである。鏡を通して文字が読めるように宇宙服には左右逆の鏡文字で表記されている。
2019/10/14
カテゴリー「生活・科学」