マラソンコースの距離を測る方法

フルマラソンのコース距離は42.195kmだが、その距離を正確に測るのは簡単ではない。その計測は厳密な方法により行われる。

現在の技術だとGPSで距離を測ることも可能だが、GPSのみの計測では誤差が出てしまい、大きな問題が発生する。それは、マラソンコースの距離が1cmでも短い、または42m以上長い場合にはその記録は無効になってしまうためである。42mはマラソンの競技距離の1000分の1の距離に当たる。

実際、2015年3月15日に行われた横浜マラソンでは、大会後に距離が186.2m短かったことが判明し、参加者たちの記録が非公認になったという出来事も起きている。そのため、マラソンコースの距離の計測は厳密に行われる。

距離の計測

その方法とは、「自転車」で計測するというもので、専門の計測員が計測を行っている。その自転車の車輪には走行距離に応じて数値を刻むカウンター(距離計)が付けられていて、カウンター付きの自転車で実際にコースを走行して計測される。そして、カウンターの数値から計測した走行距離と、GPSなどで計測したおおまかな距離を照らし合わせ、cm単位でコースを修正する。

一般の多くの人が自転車に乗れるが、自転車での距離の計測は誰にでもできるわけではい。普通の人は自転車で真っ直ぐ走っているつもりでも多少のふらつきがある。このふらつきからくる小さな誤差が、コース全体では大きな距離の差になってしまう。

そのため、専門の計測員はふらつきを防ぐため、自転車を真っ直ぐ走行させるトレーニングを日々積んでいる。また、「コース計測員」という専用のライセンス(資格)が必要となる。それでも万が一の計測ミスを防ぐため、計測は3人で行われ、その計測結果を照らし合わせて距離を確認する。3人の平均値で距離を求めるという情報もある。

また、この計測はランナーが走るラインに沿うために、基本は道の路肩から30cmのラインどりがルールとなっている。マラソンの距離は細かなルールの中で、自転車でふらつくことなく計測が行われる。

マラソンコースの計測は、これでも昔に比べて楽になっている。今のようにGPSや自転車を使う計測方法がなかった1964年の東京オリンピックの際には、今よりもずっと多くの人手と手間がかかっていた。

その方法とは、「竹」を使って計測するというものである。竹を薄く削いで50mの竹尺を作った。竹が使われた理由として、竹はよくしなるため曲線を計測しやすいこと、湿気などで伸び縮みしにくいことが挙げられる。

当時その竹尺を使って、50mを測っては次の50mを測る、という作業をひたすら繰り返していた。42.195kmを測るのに必要な回数は844回にもなる。30人がかりで何日もかけて計測したと言われている。

リンクWikipedia日本経済新聞

2019/10/29

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カテゴリー「スポーツ

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