ラグビーアイルランド代表が合同チームの理由

ラグビーの強豪アイルランドの代表は、アイルランド島の代表であり、国のアイルランドとイギリス領の北アイルランドの合同チームである。

ラグビーアイルランド代表

アイルランドでは何世紀もの間、激しい紛争が繰り返されてきた。その紛争は宗教的・政治的な理由で、血の流れる事件が発生するなど大きな問題となっていた。

1922年にカトリック系の人が主体である南部が自治領「アイルランド自由国」として成立した。それから約100年の時が経つが、プロテスタント系の人が多い北部との間には、今でも敵対感情が残っている。

アイルランドは主にカトリック系で、北アイルランドはプロテスタント系である。宗教上の対立が階級上の問題にも絡んでいる。例えば、サッカーの場合、労働者階級のカトリック系の人が多く、サッカーで合同チームを作るのは難しい。

一方、ラグビーは中流から上流階級のプロテスタント系の人が多い。アイルランドのラグビー協会は南北が分かれる以前から存在し、同協会にはプロテスタント系の人が元々いた。そのため、北アイルランドのプロテスタント系の人と一緒にチームを作りやすかった。

このような理由があり、ラグビーアイルランド代表はサッカーのように完全に分裂することなく、アイルランドと北アイルランドで国が分かれていても、合同チームを作ることが可能となっている。

ラグビーの試合前には国歌斉唱が行われ、日本代表の場合は「君が代」が歌われる。一方、アイルランド代表の場合は国歌ではなく、チームの代表歌「アイルランズ・コール」(Ireland's Call)が歌われる。その歌詞にはアイルランド分裂の歴史は一切出てこない。

また、試合前にはアイルランドと北アイルランドの二つの旗が掲げられる。このように、ラグビーアイルランド代表は二つの地域からなる合同チームだが、国境を越えて一つのチームとなっている。

リンクNewsweekWikipedia

2020/1/8

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カテゴリー「スポーツ

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