メロンに網目の模様がある理由

メロンの特徴の一つとして、表面の網目の模様がある。他の果物にはないメロンの網目は何のためにあるのか。

マスクメロン

メロンの網目模様は、植物が産生する「スベリン」(suberin)という油脂状の蠟質(ろうしつ)の物質でできている。このスベリンという物質は、コルクの主要な構成成分の一つであり、コルクガシの学名「Quercus suber」から名付けられた。コルクガシの樹皮はコルクとして様々な用途で使用される。これに由来して、スベリンでできたメロンの網目模様は「コルク細胞」とも呼ばれる。

メロンの果実ができるまでの過程を確認してみる。メロンは交配後、その実はしばらくは縦方向に大きくなり、卵のような形になる。この時はまだ網目は入っていない。そして、15日くらい経つと今度は横方向に急激に成長する。この時、内側にある果肉部分の成長が早く、皮の成長が追いつかず、皮が裂け始める。

メロンは皮に傷がつくと、内側からスベリンを分泌する。これには果実の内側からの水分の蒸発を防ぐ働きがある。このスベリンがコルク状に固まることで、メロンに網目の模様ができる。メロンの網目は、傷ができた後の修復した痕(あと)であり、人間でいうと傷ができた後にできる「かさぶた」とも言える。

メロンは成長過程において、傷ができた場所にスベリンによる修復が行われ、網目の模様ができる。そのため、人為的にメロンの表面に傷をつけることで、好きな模様を描くこともできる。また、メロンのきれいな網目の模様は、農家の人が成長に合わせた工夫をすることで作られる。

メロン農家では温度管理と水管理を徹底して行うことで、メロンの網目模様をコントロールしている。これらの管理をせずに成長させると、きれいな網目模様はできない。例えば、水分が多すぎると「ヒルネット」と呼ばれる太い網目ができてしまう。

メロンは交配後15日目辺りから皮の伸縮性がなくなり、皮が硬くなる。これを硬化期という。しかし、中の実は成長を続けるため、皮にヒビが入る。内側の実の成長の度合いを調整することで、きれいな網目模様ができる。硬化する前にタイミングを見極めて水を止める。これが農家の腕の見せどころである。

そのため、農家の人たちは毎日休みなくメロンの様子を観察する。そして、絶妙なタイミングで水やりを止めるなど、温度と水の管理を行い、メロンの成長をコントロールする。これにより、きれいな網目模様ができる。

きれいな網目の模様は、メロン農家の人が手間をかけて育てた証である。網目の間隔が狭く、網目の細かさが均一で、網目が盛り上がっているメロンは、値段の高い「高級メロン」とされる。

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2019/11/25

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カテゴリー「生き物

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