油で揚げた料理として、アジフライやエビフライなどの「フライ」と、豚カツやチキンカツなどの「カツ」がある。これらの違いは何だろうか。
「フライ」とは、主に魚介類や野菜などの食材に、卵やパン粉をつけて、多量の食用油で揚げた料理である。アジフライやエビフライ、イカフライ、カキフライ、ポテトフライ(フライドポテト)、オニオンリングフライなどがある。
この「フライ」は、英語で「油をたっぷり使って揚げる」という意味の「deep-fry」に由来する言葉である。そのため、「フライ」とは食材を高温の油で「揚げたもの」を意味する。油で揚げることで、食材の表面の水分が瞬時に蒸発すると同時に、熱で表面が硬くなり、殻のような役目をする。これにより、表面はサクッと、中はジューシーに仕上がる。
一方、「カツ」とは、主に食肉である牛肉・豚肉・鶏肉を食材とし、卵やパン粉をつけて、多量の食用油で揚げた料理である。豚カツや牛カツ、チキンカツ、メンチカツ、串カツ、ハムカツなどがある。
現在では、基本的に「フライ」と「カツ」は同じ作り方で「揚げたもの」を意味するが、歴史的に見ると「カツ」は食材を「焼いたもの」だった。
「カツ」という名前は「カツレツ」が略されたもので、その料理と名前は、牛肉を少量の油で焼いたフランス料理の「コートレット」(côtelette)に由来する。コートレットはあまり聞き覚えのない料理だが、イタリア料理店のメニュー「ミラノ風カツレツ」はコートレットのスタイルで調理されたレシピの一つである。
明治時代に日本に伝来した「コートレット」は、英語では「カットレット」(cutlet)である。これらの言葉は日本人には発音しにくく、日本語では「カツレツ」という言葉になったとされる。
このカツレツは、東京・銀座の老舗洋食店「煉瓦亭」において、フランス料理として提供されていた。同店では、牛肉の代わりに豚肉を使用し、油で揚げる料理を考案し、これを「ポークカツレツ」と名付けた。
この豚肉を揚げたポークカツレツという料理は大人気となり、同様の料理が他の店でも提供されるようになった。そして、いつしか「豚カツ」という名前に変わり、「カツ」の定番メニューとして日本人に愛されるようになった。
このように歴史的に見ると、かつて「フライ」は「揚げたもの」、「カツ」は「焼いたもの」という違いがあったが、現在ではこの違いはなくなり、両方とも「揚げたもの」を意味する言葉になっている。
一方、その食材に着目して見ると、魚介類や野菜を使用したものを「フライ」、食肉を使用したものを「カツ」と呼ぶ傾向にあり、使用する食材が「フライ」と「カツ」の違いの一つとして挙げられる。
ただし、「魚のフライ」を「魚カツ」や「フィッシュカツ」、「エビフライ」を「エビカツ」と呼ぶ場合があり、さらに魚のマグロを使用したものを「マグロカツ」、肉料理でも「レバーフライ」と呼ぶなど、例外も多く存在する。
2019/11/28
カテゴリー「食べ物」