カニはその身も美味しいが、トロトロの「カニみそ」も美味しい。カニにはカニみそが入っているカニと入っていないカニがある。
ズワイガニ、タラバガニ、毛ガニ、花咲ガニ、ワタリガニ、シャンハイガニ。スーパーなどの店頭に並ぶこれらのカニには、カニみそがあるカニとないカニがあり、分類することができる。
店頭に並ぶ時、カニみそがあるのは、ズワイガニ・毛ガニ・ワタリガニ・シャンハイガニで、これらは「カニ類」に分類される。一方、カニみそがないのは、タラバガニ・花咲ガニで、これらは「ヤドカリ類」に分類される。
カニ類は、2本のハサミを含む5対10本の脚があり、触角が短いのが特徴である。一方、ヤドカリ類は、2本のハサミを含む4対8本の脚があり、ヤドカリのように触角が長いのが特徴である。カニみそがないタラバガニ・花咲ガニは、厳密には「カニ」ではなく「ヤドカリ」である。
では、「カニみそ」とは一体何なのか。カニみそは脳みそではなく、専門的には「中腸腺」(ちゅうちょうせん)といい、人でいう肝臓や膵臓の機能を合わせ持つ器官である。そのため、カニやヤドカリを含む全ての甲殻類には中腸腺がある。
実はタラバガニ・花咲ガニなどのヤドカリ類のカニみそは、店頭に並ぶ前に取り除いている。生きたタラバガニにはカニみそがあるが、茹でるとドロドロに溶けてしまう。ズワイガニなどのカニ類のカニみそは茹でると固まって残る。しかし、ヤドカリ類のカニみそは脂肪分が多く、加熱すると溶けて形が残らない。
カニは死んでからの劣化が早く、基本的に獲った後に全て茹でて、その後に全国に発送される。タラバガニなどのヤドカリ類のカニみそは溶けて、脚の部分に流れ込み、身の劣化をさらに早めてしまう。また、その見た目もよいとは言えない状態になる。
そのため、ヤドカリ類のカニは獲った後、茹でる前にカニみそを取り除かれ、スーパーなどの店頭に並ぶ時にはカニみそがない。ヤドカリ類のカニみそも新鮮であれば食べることができ、実際、漁港の近くではタラバガニのカニみそが美味しく食べられている。
2019/12/7
カテゴリー「食べ物」