国技館の「東~」は実際の方角ではない

大相撲が行われる両国国技館において、取組前に「東~」という呼び出しがある。しかし、実際の方角は「東」ではない。

両国国技館

両国国技館の場合、呼び出しの「東~」の方角は実際には「北」である。これには天皇陛下がご観覧になる貴賓席(ロイヤルボックス)の位置が関係している。

この貴賓席は道路側にあり、実際の方角の「西」に位置する。古来から「天子は南面す(てんしはなんめんす)」という言葉があり、天皇陛下は北を背にして南を向いていなければならないという考えがある。これに従うと、実際の「東」の方角を「南」とする必要があり、これを基準に実際の「西」が「北」、実際の「北」が「東」、実際の「南」が「西」となる。

両国国技館の中においては、このような方角の設定がされているため、呼び出しの「東~」の方角は実際には「北」の方角となる。

ちなみに、「天子は南面す」の「天子」は中国の皇帝や日本の天皇の呼称であり、天帝の子、つまり天の命を受けて地上を治める者を意味する。

「南面す」は不動の存在である北極星を背にして、南の方角に向いていることを意味する。また、南の面は陽の方位であり、天皇が南を向くと左が東、右が西となる。東は太陽が昇る方角であり、日本では伝統的に左が上位とされる。

リンク朝日新聞日本相撲協会コトバンク

2020/3/8

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カテゴリー「スポーツ

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