街や駅などに必ずある飲み物の自動販売機だが、年間の総売り上げは約2兆円と言われており、巨大な市場を持つ。
日本は世界有数の自販機大国で、国内には約240万台もあり、人口に対する自販機の割合は世界一である。しかし、近年ではコンビニなどの影響で自販機の台数は年々減少傾向にある。そんな中で逆境を打開すべく様々な試みが行われている。
自販機の月の平均売り上げは1台約7万円である。ちなみに、30個のボタンが付いた自販機本体の1台の価格は約60万円である。自販機の中には驚異的な売り上げを記録するものもある。
例えば、東京駅の中にある新幹線改札内の自販機は、ひと月で最高約500万円の売り上げを記録した。その理由には、人の行き来が激しく利用者が多いという立地条件のよさもあるが、売り上げアップのための秘密の作戦もある。
それはSuicaなどの交通系電子マネーのデータを収集・分析し、売り上げアップにつなげていることである。購入した商品、購入した人の性別や年齢、購入した場所や時間といったビッグデータを分析し、利用している。
その一つが各飲料メーカーの売れる商品だけをピックアップして1台に集めた自販機である。その場所で最も売れる商品だけが並ぶオールスターの自販機である。また、データ分析の結果、自販機で飲料を購入する女性が非常に少ないという新たな事実も判明した。駅ナカ自販機の利用者は男性が7割、女性が3割だった。
そこで女性向けの自販機が考案され、女性の利用率がアップした例がある。女性向けの商品とは「常温の飲み物」である。体を冷やしたくないという女性のために、お茶や水だけでなくジュースも常温で販売した。女性は一度に飲みきれずにカバンにしまうことが多く、カバンがぬれないことも好評となっている。
また、今までの常識をくつがえす発見で売り上げをアップさせた例もある。自販機業界の常識として、売れ筋商品は左上からZの形で並べていた。これは客の視線がZの字のように動くことから考案された方法だった。ところが、新たに左下に視線が集まるという実験結果があり、左下に主力商品を配置することで、売り上げが20%もアップした。
その他、時代に合わせてスマホの充電ができる自販機も登場している。このように自販機の売り上げアップのために様々な研究と試みが行われており、自販機は進化を続けている。
2020/2/3
カテゴリー「食べ物」