「ちくわ」には、生で食べることの多い「普通のちくわ」と「おでん用のちくわ」があり、それぞれ模様が違う。なぜ模様が違うのか。
冬に食べたくなる体の温まる「おでん」。そんなおでんに欠かせないのが、熱々で出汁が染み出る「ちくわ」である。「普通のちくわ」と「おでん用のちくわ」は見た目が明らかに異なる。
上の画像の左側が「普通のちくわ」で、右側が「おでん用のちくわ」である。キュウリを挿して食べることも多い「普通のちくわ」は焼き目はあるが「生ちくわ」と呼ばれ、主におでんに入れて食べられる「おでん用のちくわ」は「焼きちくわ」と呼ばれる。
この二つのちくわの違いは製造過程における「焼き方」に秘密がある。「生ちくわ」は約200℃の温度でゆっくり時間をかけて焼いて作られる。ちくわをじっくり炙ることで、表面に皮をつける。そして、その皮を焼くことで「生ちくわ」独特の焼き色となり、表面の食感を楽しむことが出来る。
一方、「焼きちくわ」は斑点状に油をつけて、一気に加熱して作られる。すると、油をつけた部分が高温になり、一時的にその部分が大きく膨れ上がる。焼けて膨らんだところが茶色く、膨らまないところが白いままとなる。冷めると膨らみも縮み、斑点模様の「焼きちくわ」が出来上がる。
なぜ「焼きちくわ」はこのような作り方をするのか。それは斑点模様のちくわにすることで、ちくわに含まれる旨味成分を出しやすくしている。「焼きちくわ」は皮が非常に薄くなり、皮の表面には細かい穴が空いている。これによりおでんにした時に汁に旨味が出やすい。
また、「焼きちくわ」は出来上がった汁を吸う役割もあり、食べた時に出汁の旨味が口の中に広がる。「焼きちくわ」は「普通のちくわ」をおでんでより美味しく食べるために進化したものである。そんな「焼きちくわ」は明治時代に宮城県気仙沼市の漁師が作り始めたと言われ、その後おでんの具材として普及した。
2020/2/12
カテゴリー「食べ物」