昭和時代からある昔ながらの町の中華料理店を「町中華」と呼ぶ。そんな町中華の店名には「○○軒」が多い。
「軒」の付く中華料理店の店名には、「菜来軒」や「栄来軒」「福来軒」「光栄軒」「大弘軒」「大洋軒」「大勝軒」「ホープ軒」など数多くある。
1910年(明治43年)に創業した「来々軒」という伝説の中華料理店が東京・浅草にあった。元々「○○軒」は西洋料理店に使われた名前だった。ちなみに、宮沢賢治の代表作として知られる童話『注文の多い料理店』に出てくるレストランは「西洋料理店 山猫軒」である。この童話が収録された短編集は1924年(大正13年)に出版された。
中華料理でも人気のある店を作りたいという思いから「来々軒」という名前が付けられた。この「来々軒」は現在の町中華の原型のような店となった。当時、すでに存在していた中国料理店とは違って庶民的な店であり、ラーメン・ワンタン・シュウマイなどを初めて提供した。そのため、「来々軒」はラーメン店の原点でもある。
明治時代に出来たこの「来々軒」は大繁盛した。その人気にあやかろうと後から出来た中華料理店は「○○軒」という店名を好んで付けたと言われている。
さらに、元となった浅草の「来々軒」の商標登録は第二次世界大戦中に期限切れとなったことから、「来々軒」という名前を付けた中華料理店は日本全国に拡大した。そして、現在では「○○軒」という店名は美味しい町中華の代名詞のような存在となっている。
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2020/2/25
カテゴリー「食べ物」