「油揚げ」が生み出された理由

「油揚げ」とは、元々は油で揚げた食べ物を意味したが、現在では薄切りにした豆腐を油で揚げたものを意味する。

油揚げ

油揚げが誕生したのは約500年前の室町時代で、最初に作ったのはお坊さんと言われている。その油揚げはお坊さんが「肉の代わりに生み出した」という説がある。

当時、お坊さんが食べていたのは野菜や豆腐を中心とした精進(しょうじん)料理だった。仏教では動物の殺生(せっしょう:生き物を殺すこと)が禁止されていたため、肉を食べることが出来なかった。

そんな中で、肉の代用品としたのが「豆腐」で、その豆腐をなんとか肉に近付けようとして試行錯誤した結果、誕生したのが「油揚げ」である。しかし、普通の水分の多い豆腐をそのまま揚げたものは肉に程遠かった。そこで、主に二つの工夫により油揚げが作られた。

一つ目の工夫は、豆腐の水分を出来るだけ抜くことである。油揚げ用の生地は豆腐と同じ材料で作られるが、成型する工程や出来上がった後に重い石を載せることで可能な限りの水切りを行った。

二つ目の工夫は、低温と高温の油で二度揚げすることである。一般的に低温揚げの温度は150~160℃であるが、油揚げでは110~120℃の超低温で揚げる。その後、180~200℃の高温で二度揚げする。これにより外はカリッと中は弾力のあるふわふわ食感になる。揚げ油には菜種油がよく使われ、三度揚げする場合もある。

このように奥深い製法で作られる油揚げは、肉の代わりとして生み出されたものだった。そして、出汁などを吸い込みやすい、袋状なので他の食材を包み込めるなどの特徴がある油揚げは、稲荷寿司や煮物、おでん、味噌汁、きつね蕎麦など様々な料理に利用されている。

リンクWikipediaコトバンク

2020/3/12

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カテゴリー「食べ物

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