ウイスキーが琥珀色になった理由

現在造られているウイスキーのほとんどは琥珀色をしているが、実は元々ウイスキーは無色透明だった。これには密造酒が関係している。

ウイスキー

1707年にイングランドとスコットランドが合併し、グレートブリテン王国が成立した。スコットランドはウイスキーの製造が盛んだった場所である。しかし、当時のイギリスは財政がとても厳しかったことから、スコットランドの酒造に不公平な重税をかけた。

これによりスコットランドのウイスキー製造者のほとんどは廃業するか、地下に潜って密造するようになった。政府の徴税官や取締官の目から逃れるために、隠れてウイスキーの製造が行われたのである。

そんな状況下において今までの樽が使えなかったため、代わりにシェリーの空樽にウイスキーを入れておくと、なんとウイスキーの色が琥珀色になっていた。シェリーとは、アルコール度数を高めた酒精強化ワインのことである。

また、密造していた時代には、結果として樽で長期保存することになり、ウイスキーはよりマイルドになり、樽の香りや風味が添加された。このようにして琥珀色を帯びたウイスキーが出来たが、飲んでみたところとても美味しかった。

そのため、その密造されたウイスキーがそのまま商品として流通するようになった。さらに、当時のイギリス国王ジョージ4世(George IV、1762~1830年)がスコットランドを訪れた際に、密造されたウイスキーを飲み、大変気に入ったという話がある。これをきっかけとして税法改正が行われ、ウイスキーの税率が下がった。

その国王が気に入ったとされるウイスキーは、スコットランドのグレンリベット蒸留所が製造するスコッチ・ウイスキー「ザ・グレンリベット(The Glenlivet)」である。その蒸留所の創立は1824年のことで、グレンリベットは「すべてのシングルモルトはここから始まった」という謳い文句でも知られている。

このように、現代のようにウイスキーが琥珀色になったのは、密造のためにシェリーの樽を使い、長期間の熟成をしたことによるものである。なお、ウイスキーは蒸留後に樽の中で熟成させることで、樽の木材の成分が溶け出し、ウイスキーの成分と反応して琥珀色を帯びる。

リンクWikipediaサントリーザ・グレンリベット

2020/4/2

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カテゴリー「食べ物

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