「もんじゃ焼き」は、小麦粉を水でゆるく溶いて、キャベツなどの具材を混ぜて鉄板で焼いた食べ物で、東京・月島の名物料理となっている。
単に「もんじゃ」とも呼ばれるもんじゃ焼きは、いわゆる「粉もの」料理の一つである。お好み焼きに似た食べ物であるが、水分が多くゆるい生地で鉄板で加熱しても固まらないことや、ソースなどの調味料を生地に一緒に混ぜ込むという特徴がある。
もんじゃ焼きの原型は江戸時代の後期にはすでにあったとされ、当時のもんじゃ焼きには特に具材がなく、子ども向けのおやつとして蜜(みつ)などの甘い味付けで食べられていた。
そんなもんじゃ焼きは、焼く時に生地で文字を書いて遊んだことから「文字焼き(もんじやき)」と呼ばれ、これが訛って「もんじゃ焼き」になったとされる。
1814年(文化11年)に刊行された浮世絵師・葛飾北斎(かつしか ほくさい、1760~1849年)の『北斎漫画』では様々な江戸文化が描かれているが、その中に屋台でもんじゃ焼きの原型となるものを焼いて商売をする「文字焼き屋」の姿が描かれている。また、もんじゃ焼きは当時の川柳(せんりゅう:五・七・五の十七音の短詩)にも登場するほど身近な食べ物だった。
現在につながるもんじゃ焼きのスタイルは戦後の昭和20年代に誕生し、東京・浅草近辺が発祥地とされることが多い。異説もあるが、その浅草を基点として当時物流が盛んだった隅田川や鉄道、国道を通じて、埼玉や群馬、栃木など関東のほかの地域に伝わったと言われている。
「もんじゃ焼き」の呼称は「もんじゃ」のほかに、「もじ焼き」「もんじ焼き」「じじ焼き」「水焼き」「ぼったら焼き」「たらし焼き」などがあり、主に地域によりその呼び名が異なる。
2020/5/24
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