神奈川県・鎌倉を代表する銘菓「鳩サブレー」は、鳩の形とともにバターの風味とサクサクとした食感が特徴である。
鳩サブレーはその名前にもあるように「鳩」の形をしており、主に鎌倉の鶴岡八幡宮の土産として有名である。鳩サブレーの「鳩」と「鶴岡八幡宮」には大きな関係がある。
鳩サブレーを開発したのは、鎌倉において1894年(明治27年)に創業した「豊島屋(としまや)」であり、その初代店主・久保田久次郎は鶴岡八幡宮を崇敬(すうけい:あがめうやまうこと)していた。そして、久次郎は本宮に掲げられた額の「八」が鳩の向き合わせであることと、宮鳩が多数いるところから、菓子を「鳩の形」にする着想を得たと言われている。また、一般的に八幡宮の神の使いは鳩とされている。
このように鶴岡八幡宮にちなんだ菓子を作ろうとした結果、明治時代の末期に鳩の形をした「鳩サブレー」が誕生した。商品名にもある「サブレー(仏:sablé)」とはビスケットの一種の洋菓子のことである。
「サブレー」の名前の由来については諸説あり、サブレーが作られたフランスの町「サブレ=シュル=サルト(Sablé-sur-Sarthe)」に由来する説や、フランス語の「sablé」は「砂をまく、砂で覆う」という意味の動詞「sabler」の過去分詞形であり、「砂が崩れるような食感」から名付けられたとする説などがある。
鳩サブレーの開発のきっかけは、上記の久次郎が店に来た外国人からもらったビスケットであった。そのビスケットを参考にしてバターを使った菓子を作り、その試作品を友人の船長に食べてもらったところ、「フランスで食べたサブレーという菓子に似ている」と言われ、初めてサブレーという洋菓子の存在を知った。そして、その新しく作った菓子には「鳩サブレー」という名前が付けられた。
また、発売当初、この「鳩サブレー」は「鳩三郎」とも呼ばれていた。それは当時、耳慣れない「サブレー」という単語を聞いた久次郎は「サブレー」=「三郎」と連想したためである。正式な商品名は当初より「鳩サブレー」であったが、鳩サブレーのマスコットグッズの中には「鳩三郎」の名称を付けられたものもある。
ちなみに、豊島屋は「は(8)と(10)」(鳩)と読む語呂合わせから8月10日を「鳩の日」に制定している。また、「サブレー」に関連する記念日として、「サ(3)ブ(2)レ(0)」と読む語呂合わせから3月20日は「サブレの日」となっている。
2020/6/12
カテゴリー「食べ物」