「金石の交わり(きんせきのまじわり)」とは、「かたく結ばれた友情や交わり、いつまでも変わらない関係」を意味する言葉である。
この言葉は、紀元前の中国・前漢のことを記した歴史書『漢書(かんじょ)』に由来する。漢の王・劉邦(りゅうほう)の配下の韓信(かんしん)という武将は、功績を上げ、斉(せい)という国の王の地位を与えられた。韓信は漢の三傑(さんけつ)の一人である。一方、劉邦の宿敵である楚(そ)の国の武将・項羽(こうう)は韓信を寝返らせようと使者を送った。
その時の内容は、「今足下は漢王と金石の交わりを為すといえども、然れども終には漢王の擒とする所と為らん(今あなたは、漢の王・劉邦と固い絆で結ばれていると思っているようだが、最後には劉邦の捕虜にされてしまうだろう)」というもの。
もともと韓信は楚の出身であり、項羽軍にいたが、その才能が全く用いられず、劉邦軍へと鞍替えをしたという経緯がある。項羽は結局は劉邦に都合のいいように使われるだけだと、忠告の意味を込めてこの言葉を伝えた。しかし、韓信はこの申し出を即座に断った。
この言葉の中にあるように、「金石の交わり」は「友情や交わりがかたいこと」を意味する。「金と石は共にとても堅く、それくらい堅固な絆で結ばれた友情や交わり」を「金石の交わり」という言葉で表現したのである。
2020/6/19
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