「ハイカラ」とは、「西洋風でしゃれた、きざな、目新しい様、またそのような人」という意味の言葉である。
「ハイカラ」という言葉は、1898年(明治31年)頃から使われ始め、その後に流行語となり、一般に定着した。この言葉の生みの親は、当時の新聞記者・石川安次郎(いしかわ やすじろう、1872~1925年)という人物で、通称は石川半山(いしかわ はんざん)である。
石川は「ハイカラ」という言葉を、西洋文化にかぶれた人を揶揄(やゆ:からかうこと)する目的で使っていた。新聞紙面で石川から「ハイカラ」と名指しされた人物として、欧米視察を行った政治家・竹越与三郎(たけこし よさぶろう、1865~1950年)や、イギリス留学の経験を持つ政治家・望月小太郎(もちづき こたろう、1866~1927年)などがいる。
「ハイカラ」とは、元々「ワイシャツの襟(えり)が高いこと」を意味し、英語の「ハイカラー(high collar)」に由来する言葉である。そのため、「ハイカラ」は「高襟」とも書く。
これは当時、欧米で流行していたシャツの着こなしであり、西洋風で目新しい着こなしや、そのような人を「ハイカラ」と呼んで揶揄した。「ハイカラ」の「カラ」は襟の「collar」であるため、色の「color、colour」ではない。また、皮肉を込めて漢字で「灰殻」と書かれることもある。
ただし、石川の思いとは裏腹に「ハイカラ」は「目新しいものを好むおしゃれな人」を指す言葉として定着した。西洋風に結った髪を「日本髪」に対して「ハイカラ髪」と呼び、その髪型の人を「ハイカラさん」と呼んだ。また、「ハイカラ」の対義語は「バンカラ(蛮殻、蛮カラ)」である。
「ハイカラ」に関連する情報として、大和和紀(やまと わき)による漫画作品に『はいからさんが通る』があり、漫画雑誌『週刊少女フレンド』(講談社)に1975年(昭和50年)から1977年(昭和52年)まで連載された。また、1982年(昭和57年)に放送されたNHKの連続テレビ小説に『ハイカラさん』がある。
2020/7/5
カテゴリー「語源・由来」