「セロテープ」や「ボンド」「マジック」「フラフープ」「オセロ」など、何気なく言っている物の呼び方が実は商品名だという場合は意外と多い。
その会社の商品ではない場合、テレビなどでは一般商品名で言い換えている。そのため、テレビでの言い方に違和感を感じる場合もあるが、これは仕方のない問題である。以下、身近な商品を中心にその例を挙げてみる。
「セロテープ」は日本においてニチバン株式会社が有する登録商標であり、一般商品名は「セロハンテープ」となる。
セロテープは1948年(昭和23年)に最初の日本国産セロハンテープとして販売が開始された。初期には国内で入手できるセロハンテープがセロテープしかなかったため、普通名詞化して使われることが多い。特にニチバンの製品でなければ、一般名のセロハンテープを使用するほうが望ましい場面もある。
合成接着剤「ボンド」はコニシ株式会社の登録商標であり、一般商品名は「接着剤」や「木工用接着剤」となる。
ボンドは1952年(昭和27年)に販売が開始され、その後の日本を代表する接着剤のトップブランドとして成長し、「コニシのボンド」の印象を強く根付かせた。インターネットでの同社のドメイン名も「bond.co.jp」である。
油性マーカー「マジック」または「マジックインキ」は株式会社内田洋行(うちだようこう)の登録商標であり、一般商品名は「油性マーカー」や「油性サインペン」「油性フェルトペン」などとなる。
社名の「内田」は創業者・内田小太郎の名にちなみ、「洋行」は中国語で外資系の商店を意味する。マジックインキは同社の発案・企画と寺西化学工業株式会社の研究・開発によって生まれ、1953年(昭和28年)に発売された。
「セスナ(Cessna)」はもともとアメリカの軽飛行機・ビジネス機メーカーの社名で、現在はアメリカの会社テキストロン・アビエーション(Textron Aviation)の登録商標である。一般商品名は「軽飛行機」や「小型飛行機」となる。
セスナ機はセスナ社製の軽飛行機で、日本においては1956年(昭和31年)から販売している「セスナ 172(Cessna 172)」が世界的なベストセラーとなり、日本ではセスナが軽飛行機の代名詞となっている。
リンク:Textron Aviation、Wikipedia
「テトラポッド」は株式会社不動テトラの登録商標であり、一般商品名は「波消しブロック」や「消波(しょうは)ブロック」などとなる。
テトラポッドは海岸や河川などの護岸や水制を目的に設置するコンクリートブロック。日本では同社により1960年代頃から導入され普及した。放射状に伸びた4本の脚が特徴的で、名前のテトラはギリシャ語の接頭辞で数字の4を意味する。そして、テトラポッドは本来は「四肢動物(ししどうぶつ)」の意味である。
「タッパー」や「タッパーウェア」はアメリカのタッパーウェア・ブランズ社(Tupperware Brands)の登録商標であり、一般商品名は「食品保存容器」となる。
タッパーという名称は、同社の創始者アール・サイラス・タッパー(Earl Silas Tupper、1907~1983年)の名前に由来する。日本では1963年(昭和38年)に販売が開始され、密閉性が高いという評判やアメリカ風の生活への憧れなどから生活の中に浸透していった。
「キャタピラー」はアメリカのキャタピラー社(Caterpillar)の登録商標であり、一般商品名は「無限軌道(むげんきどう)」となる。
無限軌道を用いた走行装置、及び履帯(りたい)そのものをキャタピラーと呼ぶ場合がある。油圧ショベルのCATのロゴでも知られるが、キャタピラーとは英語で猫ではなく芋虫や毛虫のことである。英語ではキャタピラーが「caterpillar track」、無限軌道が「continuous track」などと表記される。
「宅急便」はヤマト運輸株式会社の登録商標であり、一般商品名は「宅配便」となる。
1976年(昭和51年)に「電話1本で集荷・1個でも家庭へ集荷・翌日配達・運賃は安くて明瞭・荷造りが簡単」というコンセプトの商品「宅急便」が誕生した。その名前には「お宅に急いでお届けするサービス」という意味が込められている。
「フリスビー(Frisbee)」はアメリカの玩具会社ワムオー社(Wham-O)の登録商標であり、一般商品名は「フライングディスク(flying disc)」となる。
1948年(昭和23年)に金属製からプラスチック製に改良して商品化がされた。フリスビーの名称はもともと皿を投げて遊んでいたパイ店「フリスビー・パイ・カンパニー(Frisbie Pie Company)」の名前に由来する。
「フラフープ(Hula hoop)」も上記のフリスビーと同じくアメリカの玩具会社ワムオー社(Wham-O)の登録商標であり、主に現代アメリカでは「フープ(hoop)」と呼称される。
1958年(昭和33年)にアメリカで大流行したことを受けて、同年に日本の各デパートで販売が開始された。販売店には行列ができ、日本中で爆発的に売れて一大ブームを起こした。
「オセロ(Othello)」は株式会社メガハウスの登録商標であり、他社からは「リバーシ(Reversi)」の名前で同様のデザインの商品が販売されている。NHKでは「黒と白の石を取り合うゲーム」などと言い換えて報道していたこともある。
オセロは茨城県水戸市出身のボードゲーム研究家・長谷川五郎(はせがわ ごろう、1932~2016年)によって開発された。完成したオセロは1973年(昭和48年)に当時のツクダから発売され、ヒット商品となった。
「UFOキャッチャー」は正式名が「UFO CATCHER」で株式会社セガの登録商標である。一般商品名は「クレーンゲーム」や「プライズゲーム」となる。
1985年(昭和60年)にUFOキャッチャーの初代機が発売された。当初はあまり人気がなかったが、1990年代に入ると有名キャラクターを用いた専用景品が数々投入され、大ヒットした。
2021/4/17
カテゴリー「生活・科学」