現在の日本において飼い主が付けた犬の名前には色々なものがあるが、「ポチ」という名前は飼い犬を表す代名詞としても用いられる。
日本で犬の名前に「ポチ」と付けるようになったのは明治時代の頃からであり、比較的新しい名前である。明治維新により日本の犬の世界でも文明開化が始まったとされる。
江戸時代における日本の犬の飼い方は、地域や長屋で番犬として犬を放し飼いにする文化が一般的だった。そのため、犬の名前は誰が見ても分かるように犬の毛色に由来して、「シロ」「クロ」「ブチ」などが付けられた。「ブチ」は「まだら模様の犬」を意味する。
その後、1873年(明治6年)に東京府が「畜犬規則」を定め、飼い犬には必ず首輪をして、飼い主の住所と名前を書いた札を付けることが決められた。これにより犬は現在のようにペットとして飼われるようになった。
文明開化が進んだ当時、西洋文化を真似て、飼い主は犬と一緒に散歩したり、座敷や銭湯に犬を連れて行ったり、見た目とは違う名前を付けたりした。
犬の名前が「ポチ」となった理由については諸説あるが、英語で「犬」を意味する「pooch(プーチ)」や「まだら」を意味する「patch(パッチ)」、フランス語で「小さい」を意味する「petit(プチ)」などと呼んだ犬の名前を、日本人が「ポチ」と聞き間違えたことに由来する説がある。
1886年(明治19年)に作られた教科書『読書入門』や、1901年(明治34年)に出版された『幼年唱歌』の童謡「花咲か爺」において犬を「ポチ」と表現している。これらをきっかけとして「ポチ」という犬の名前が日本中に広まったとされる。
1910年(明治43年)7月3日の『東京朝日新聞』では、犬の名前ランキングとして「ポチ」が15票を獲得し、第1位となっている。ちなみに、ランキングの2位は13票で「ジョン」、3位は12票で「マル」、4位は10票で「クロ」、5位は8票で「アカ」である。
現在では「ポチ」という名前の犬は少なくなっているが、上記のように「ポチ」という犬の名前は明治時代の文明開化とともに付けられるようになった。その他にも、日本語の「これっぽっち」や「ぽっちり」に由来する説もある。
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2021/7/19
カテゴリー「生き物」