マリモ(毬藻)は、球状の集合体を作ることで知られる淡水性の緑藻の一種である。球状のマリモの内部には繊維状の藻が詰まっている。
球状のマリモ
画像元:YouTube
北海道の阿寒湖に生息するマリモは美しい球状体を作るため、1952年(昭和27年)3月29日に国の特別天然記念物に指定された。「マリモは丸い」というイメージが強いが、マリモの個体は細い繊維であり、これを糸状体(しじょうたい)と呼ぶ。
よく目にする球状のマリモは生物学的には「マリモの集合体」である。多くの生息地ではマリモは糸状体の形態で暮らし、球状の集合体を作らない。これらのマリモは岩に付着して生活したり、小さな塊で水中を漂ったりする。
このような様々なマリモが日本各地の湖に生息している。一方、阿寒湖は世界最大のマリモの群生地であり、直径10cmほどの球状体のマリモが大量に生息する。大型のマリモになると直径30cm以上にもなる。
阿寒湖のマリモが丸くなるのは、次の2つの要素が偶然にも重なったためである。1つ目の要素は、阿寒湖には浅瀬が多いためである。マリモは植物であり、その成長には太陽の光が必要となる。水深が浅い方が太陽の光が届きやすく、マリモは大きくなりやすい。
2つ目の要素は、阿寒湖では日の長い夏場に強い風が吹くためである。この風と浅瀬が生み出す絶妙な波の力により、マリモはその場で回転する。そして、満遍なく太陽の光を浴びて、丸く成長する。
このようにして丸く成長したマリモは生存競争に強いという特徴もある。マリモの天敵は水草である。背の高い水草はその葉っぱで太陽の光を遮り、マリモの成長を妨げる。更に、水草がマリモの周辺で増えると波の力を遮り、マリモの回転運動を弱める。
そんな水草は台風のような大きな嵐に弱い性質がある。水草は湖の底に根を張って生息するが、浅瀬で強い波を受けると根が取れて流され、岸に打ち上げられる場合が多い。一方、根を張らない丸いマリモは多少の波で流されても生き残り、成長を続ける。
ちなみに、関連する記念日として、阿寒湖のマリモが国の特別天然記念物に指定された日に由来して、3月29日は「マリモの日」となっている。
リンク:Wikipedia
2021/8/16
カテゴリー「生き物」