昆虫が小さい理由

カブトムシやクワガタムシ、バッタ、トンボ、カマキリ、アリ、テントウムシなど、昆虫は人間に比べてかなり小さい。

カブトムシ・クワガタムシ

私たちが普段目にする虫は大きくても10cm程度で、人間のような哺乳類などに比べて小さいという特徴がある。昆虫が小さい理由については、大きく分けて2つある。

虫が小さい1つ目の理由は「虫は体の中に骨がないこと」である。虫の体内には人間のように体を支える骨がない。その代わりに体を支えているのが体を覆う硬い皮で、この構造を「外骨格(がいこっかく)」と呼ぶ。

哺乳類などの生き物は体内に骨を持ち、その構造は「内骨格(ないこっかく)」と呼ぶ。体内に骨を持つ内骨格の生き物は、その骨が家の柱のような働きをして大きな空間を支えることができる。

一方、体内に骨を持たない外骨格の生き物は、家でいう外壁しかなく、小さな空間しか支えることができない。体を大きくするとその重さに耐えられずにその空間は潰れてしまう。つまり、虫のような外骨格の生き物は大きくなると体を支えられないため、小さいというわけである。

虫が小さい2つ目の理由は「虫には肺がないこと」である。人間の体内では口や鼻から吸い込んだ酸素を肺の中で血液に取り込み、全身に送るという「肺呼吸」が行われている。虫は人間とは異なる呼吸方法で酸素を取り入れており、それが「気管呼吸」である。

多くの虫には気門(きもん)という呼吸するための穴が数多く開いており、体中を巡る気管(きかん)という管を通して体に酸素を取り入れている。ただし、虫の呼吸では気門から少しずつ空気が入るだけで、人間のように空気を強く吸い込めない。

昆虫が小さければこの構造でも問題ないが、体が大きくなると内部まで十分に酸素が届かない。つまり、昆虫は気管呼吸であり肺を持たないために、体を大きくすることができないというわけである。

例えば、今よりも酸素濃度が高い環境であれば虫はより大きくなる可能性がある。今から約3億年前の地球では酸素濃度が1.5倍だったとされ、今より巨大な虫が生息していた。実際に見た目がトンボに似たメガネウラという虫の化石が残っている。メガネウラが羽を広げた横幅は約70cmにも及び、「史上最大の昆虫」とも言われている。

このように昆虫が小さいのは、「虫は体の中に骨がないこと」や「虫には肺がないこと」が大きな理由として挙げられる。

リンクWikipediaコトバンク

2021/9/25

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カテゴリー「生き物

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