博物館に展示されている恐竜の全身骨格は子ども達にとても人気があり、今では国内の多くの博物館で展示されている。
そんな恐竜の全身骨格には礎となったある1体の恐竜の存在がある。それはアロサウルス(Allosaurus)という恐竜で、その全身骨格が東京・上野の国立科学博物館に展示されている。アロサウルスは今から約1億5000万年前のジュラ紀後期に北アメリカなどに生息していた。
そんなアロサウルスの全身骨格が1962年(昭和37年)に初めて日本へやって来て、2年後の1964年(昭和39年)に公開された。その全身骨格は実物の化石を組み立ててつくられたものだった。
今でこそ国内の博物館では恐竜の全身骨格を普通に見ることが出来るが、1962年までは国内に存在しなかった。そこで立ち上がったのが当時アメリカで日本語教師やホテル経営を行っていた小川勇吉(おがわ ゆうきち、1888~1972年)である。
小川は日本に帰国した際に、日本の博物館には恐竜の全身骨格が1体もないことに気が付き、自腹で多額の資金提供を行い、アメリカの大学の研究チームに化石の発掘を依頼した。結果的に骨格の発掘・復元に成功し、その骨格は国立科学博物館に寄贈された。小川は費用の捻出のために持っていたホテルを全て売却したとも言われている。
このようにして日本でも恐竜の全身骨格の展示が始まった。その展示方法にも進化があり、恐竜のポーズがよりリアルになっている。昔の定説ではアロサウルスは長い尻尾を引きずって歩くとされていたが、長年の研究により重い頭とのバランスをとるために尻尾を上げながら歩いていたことが判明した。
これに基づき、アロサウルスの全身骨格の展示も尻尾を上げた姿に変更された。今では国内で当たり前に見ることが出来るようになった恐竜の全身骨格の展示には、このような歴史や進化があった。
2021/9/5
カテゴリー「生き物」