「四六時中(しろくじちゅう)」とは、4x6=24時間であることから、「一日中ずっと、いつも、始終、常に」という意味である。
「四六時中」は明治時代に入ってから使われるようになった比較的新しい言葉で、それ以前は「二六時中(にろくじちゅう)」と言っていた。
江戸時代には、「子の刻」や「丑の刻」など一日を「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の十二刻で表し、昼と夜はそれぞれ六刻に分けられた。そこから2x6=12刻で「二六時中」という言葉で表現された。
しかし、その後の1873年(明治6年)に西洋で一般的だった太陽暦が導入され、それと同時に24時間制が導入され、一日は24時間で分けられた。これに伴い、一日を12から24にするために2x6の「二六時中」は4x6の「四六時中」という言葉で言い換えられるようになった。
このように明治時代には西洋の思想が次々と取り入れられ、日本語に様々な影響を与えた。その結果、西洋の言葉を表現するために新たな日本語が作り出された。
例えば、英語の「speech(スピーチ)」には仏教用語の「演説」という言葉が当てられた。「speech」は「多くの人の前で自分の意見・主張を述べること」を意味し、「演説」はもともと「お坊さんが説法をする様子」を表す言葉である。
この「演説」という言葉を現代の意味で一般に広めた人物は、思想家・教育者の福沢諭吉(ふくざわ ゆきち、1835~1901年)である。
その他にも「liberty(リバティ)」には「自由」、「debate(ディベート)」には「討論」、「economy(エコノミー)」には「経済」、「zoo(ズー)」には「動物園」という言葉が当てられ、同じく福沢諭吉により広まったとされる。
一方、江戸時代以前の古い用法が残った言葉として、「人の倍であること」や「普通の人以上であること」を意味する「人一倍」などがある。
2021/8/31
カテゴリー「語源・由来」