福岡と東京の「ひよ子」の違い

みなさんにとって銘菓「ひよ子」は福岡と東京どちらのお菓子だと認識されているだろうか。これは人によって違うと思われる。

ひよ子

全国的な知名度を誇るかわいらしい銘菓「ひよ子」は、1912年(大正元年)にお菓子作りが盛んだった福岡県飯塚市で生まれた。炭坑で栄えていた飯塚では、働く人々のエネルギー源として甘いものが好まれ、また、東京や大阪との取引や往来が活発だったことから、手土産にお菓子が喜ばれた。

たちまち人気商品になった「ひよ子」は、1964年(昭和39年)の東京オリンピックが開催された年に東京へ進出した。東京駅の八重洲口に直営店をオープンさせた。その後、東北新幹線の東京駅への乗り入れなどもあり、新幹線を利用する人々に東京土産としても認知されるようになっていった。

東京駅で「ひよ子」を初めて見た人たちは東京のお菓子だと思った。現在では福岡で販売される「ひよ子」のパッケージには「博多銘菓」、東京で販売されるパッケージには「東京銘菓」との表記がされている。「ひよ子」を製造・販売する株式会社ひよ子の本社は福岡市南区にあるが、会社としては福岡と東京の両方の銘菓として愛され続けたいとの考えがある。

そんな「ひよ子」は福岡で販売しているものと東京で販売しているものにパッケージ以外の違いがある。それは製造する工程で「焼き上げの温度」が違う。東京のものは福岡のものよりも10~15℃低い温度でより長い時間をかけて焼き上げている。

「ひよ子」が生まれた福岡の飯塚は山に囲まれた盆地で、湿度が高い土地である。一方、東京は飯塚より比較的湿度が低く、乾燥しやすい。乾燥しやすい東京だと生地がパサパサしやすい。福岡と東京で同じように製造すると、食べた時の食感や口あたりが違ってくる。

そこで食べた時の食感がしっとり同じになるように仕上げている。この焼き上げの違いにより福岡と東京で「ひよ子」のフォルムにも微妙な違いが発生している。福岡のものはシュッとしていて、東京のものは少しふっくらしている。

リンクひよ子Wikipedia

2025/7/27

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カテゴリー「食べ物

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