日本でビールといえば500mlのジョッキで飲むのが当たり前になっているが、これにはビールの本場であるドイツが関係している。
日本にビールが伝わったのは江戸時代の中期で、幕府が貿易をしていたオランダ人が長崎の出島に持ち込んだ。しかし、当時の日本人はほとんどビールを飲んでおらず、日本に滞在していた外国人がジョッキで飲んでいた。
日本人がビールをジョッキで飲むようになったのは明治時代になってからで、ドイツの影響によるものだった。当時のドイツは日本が近代国家を目指す上でお手本とした国であり、医学生など多くの日本人がドイツに留学した。
そんな中で留学生たちは現地のビアホールを訪れた。そこで1Lの取っ手つきジョッキで豪快にビールを飲むドイツ人を目撃し、これが本場の飲み方かと感動した。大量にビールを飲むドイツの人々は、いちいち小さいグラスに入れたらおかわりが面倒くさいため、1Lの大きなジョッキを使用した。
その情報を留学生が持ち帰り日本に伝わるが、当時の日本人は体格が小さすぎる問題があった。明治時代の男性の平均は身長約157cm・体重約50kg、女性の平均は身長約147cm・体重約47kgであり、かなり小柄だった。
1Lジョッキは日本人には体格的に大きすぎるということで、選ばれたのが半分の大きさの500mlジョッキだった。ドイツでは1Lジョッキが主流だったが、500mlジョッキも使われていた。このようにドイツに憧れを持った日本人がその体のサイズに合った500mlジョッキを好んだというわけである。
ちなみに、ジョッキは和製英語で「水差し」を意味するジャグ(jug)が訛ってできた言葉とされる。英語ではマグ(mug)、ドイツ語ではクルーク(Krug)と呼ばれ、海外でジョッキは通じない。
2025/7/30
カテゴリー「食べ物」