「キヤノン」の名前の由来

カメラやビデオなどを製造する日本の大手精密機器メーカー「キヤノン」の社名は、同社が日本で最初に試作した小型カメラの名前「カンノン」に由来する。

キヤノン株式会社の前身は、1933年(昭和8年)11月12日頃に、内田三郎・吉田五郎(吉田は翌年の9月末までに退所)によって創立された精機光学研究所である。

観音菩薩の慈悲にあやかりたいという気持ちから、1934年(昭和9年)に完成した日本産初の精密小型カメラの試作機を「KWANON」(カンノン)、そのレンズを「KASYAPA」(カシャパ)と命名した。

カメラ「カンノン」

KASYAPAは、釈迦の弟子の一人である大迦葉(だいかしょう)のサンスクリット語「マハーカーシャパ」に由来する。当時のカメラ「カンノン」のロゴマークも観音様をモチーフにしたものになっていた。

カンノンのロゴマーク

1935年(昭和10年)、世界で通用するカメラのブランド名として、Canon(キヤノン)が採用された。英語で「聖典」「規範」「標準」という意味を持ち、正確を基本とする精密工業の商標にふさわしいことと、KWANONに発音が似ていることが、この名称を採用した理由とされている。同社の社名には業界の規範として活動していくという企業精神が込められている。

試作カメラに「カンノン」と名付けた当時の願いが叶ってキヤノンは世界一のカメラメーカーとなった。2023年(令和5年)には世界のデジタルカメラ売り上げ台数で第1位を獲得した。また、21年連続でレンズ交換式デジタルカメラの世界シェアNo.1を誇る。特にピントを自動で合わせてくれるオートフォーカス機能が早くて優秀であり、人気が高い。

キヤノンのロゴマーク

現在の同社のロゴは1956年(昭和31年)より使用されており、1974年(昭和49年)からロゴの色がキヤノンレッドになっている。

日本語における正式な表記は「キヤノン」であり、小字を用いた「キャノン」ではない。拗音の「ヤユヨ」や促音の「ツ」を大書きするのは、かつて(第二次世界大戦前から終戦直後まで)の歴史的仮名遣で当たり前の表記法だった。

この表記を続ける理由を、同社ではバランスを考慮して小字の「ャ」の上の空白によって穴が空いたように感じられることを避けたためとしている。

リンクキヤノンWikipedia

2025/11/25

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー「語源・由来

関連記事