川崎大師(かわさきだいし)は、神奈川県川崎市川崎区にある真言宗智山派の大本山・平間寺(へいけんじ)の通称として知られている。
川崎大師といえば初詣で有名で、毎年の正月には初詣の参拝客で大変な賑わいとなる。2020年(令和2年)の記録では初詣の三が日に300万人が訪れた。川崎大師は近代以降の初詣発祥の地とされる。また、川崎大師は厄除けでも有名である。
平間寺は平安時代の900年前から続く歴史がある。川崎の地に川崎大師ができた理由には、寺のご本尊が深く関わっている。一般的にご本尊は観音様などの仏様がいるが川崎大師は弘法大師(こうぼうだいし)を祀っている。
弘法大師は真言宗を開いた人物で、空海(くうかい)のことである。各地で数々の奇跡を起こした伝説が全国に残っている。他にも「大師」が付く寺はあるが、弘法大師をご本尊する寺はとても珍しい。
川崎大師には寺を開いた平間兼乗(ひらま かねのり)の像があるが、平間寺の名前はこの平間兼乗に由来する。平間兼乗は尾張の国(現:愛知県の西部)の武士だったが、無実の罪で国を追われて各地を流浪した後、川崎の地にたどり着き、漁師として暮らしていた。そんな中で平間兼乗は弘法大師のご本尊と出会うことになる。
平間兼乗の夢の中でお坊さんがお告げをしたと伝わっており、そのお告げに従って近くの浜辺に行くと海中に光るものがあり、網を投げ入れて引き揚げたところ、それが弘法大師の木像だった。
当時、川崎大師の東側は海で浜辺が近くにあった。現在、川崎には「夜光(やこう)」という地名・町名があるが、弘法大師の像で夜に海中が光っていたことに由来してこの名前が付いたとされる。
平間兼乗が弘法大師の像を引き揚げたのは厄年の42歳の時だった。平間兼乗はその像をお祀りをして供養したところ、無事に厄年を乗り越えることができた。これに由来して川崎大師は厄除けの寺として知られるようになった。
名前も平間兼乗からとって平間寺と名付けられ、1128年(大治3年)に川崎大師が創建した。平間寺は通称として「川崎大師」の他に「厄除弘法大師」や「厄除けのお大師さま」とも呼ばれ、信仰を集めている。
2025/12/24
カテゴリー「歴史・文化」