とろとろのプリンやとろとろのオムライス、とろとろの親子丼など日本ではとろとろした食べ物が人気である。なぜ日本人はとろとろが好きなのか。
スーパーなどにはその他にもとろけるチーズやとろりとした納豆、とろける杏仁豆腐、とろける生豆腐のような商品が並んでいる。日本人がとろとろが好きな理由は口の中での滞在時間が長いからである。
日本人ととろとろの関係は鎌倉時代までさかのぼる。鎌倉時代に書かれた辞書『名語記』(みょうごき)には「淀」(よど)という言葉の説明に「水がよどんで流れにくい様子 とろとろともいう」と書かれている。当時のとろとろは川の流れがゆっくりしている様子を表現していた。ちなみに埼玉県・秩父の観光地である長瀞(ながとろ)の「とろ」はその地域を流れる荒川の緩やかな水の流れに由来する。
人間は離乳食の段階からやわらかくふわふわのとろとろした食感を本能的に好む傾向にある。なぜならそれらは食べやすくて消化がよく、安全な食感といえるからである。これは離乳食を食べる日本の赤ちゃんも外国の赤ちゃんも同じだが、外国人は成長して5歳を過ぎるととろとろした食べ物を食べなくなる。しかし日本人は5歳を過ぎてもとろとろした食べ物を好んで食べる。それは生食文化が影響している。
海に囲まれた日本では昔から魚を生で食べる文化が根付いていたため生のほうが美味しいと刷り込まれた結果、生卵やとろろなどとろとろした生の食感を好むようになった。つまり日本人にとってとろとろ食感は大昔から欠かせない食材だった。
そして今の日本人もとろとろした食感が本能的に好きである。日本人がとろとろ食感を好むもう一つの大きな理由が口の中での滞在時間である。とろとろした食材は粘度が高く口の中での滞在時間が長いため美味しく感じる。
同じ料理でもさらっとしたものより、とろとろしたほうが粘り気があることで舌に絡み、うまみを感じやすく、より美味しいと感じやすい。また日本人は外国人に比べてうまみを感じやすいという特徴がある。それは味覚力調査でもその結果が出ている。
人間の舌には味を感じる味蕾(みらい)という器官が約1万個あるが、日本人は外国人に比べて味蕾の機能が高い。そのため外国人に比べて日本人のほうが味を感じとる力が強い。これは日本人がだし文化で昔から昆布やかつお節のうまみを普段から感じていたことが影響している。
つまり日本人は昔から生食文化でとろとろした食材に慣れているのに加えて、外国人よりもうまみを感じやすく、口の中での滞在時間が長いとろとろしたものをより美味しく感じるため、とろとろした食感を好む。
2026/10/23
カテゴリー「食べ物」