鱒二忌(7月10日 記念日)

昭和・平成時代の小説家・井伏鱒二(いぶせ ますじ)の1993年(平成5年)の忌日。

井伏鱒二

故郷の広島県福山市の「ふくやま文学館」では、井伏鱒二の文学的な業績を偲び、この日の前後に講演会などが開催される。

井伏鱒二について

1898年(明治31年)2月15日、広島県安那郡加茂村(現:福山市)に次男として生まれる。本名は井伏満寿二(いぶせ ますじ)。井伏家は代々の地主。筆名は釣り好きだったことによる。

5歳の時に父を亡くし、特に祖父にかわいがられて育つ。広島県立福山中学校(現:広島県立福山誠之館高等学校)を卒業。同校の庭には池があり、2匹の山椒魚(サンショウウオ)が飼われていて、これが後に小説として発表される。早稲田大学仏文科を中退。

長い同人誌習作時代を経て、1929年(昭和4年)に短編小説『山椒魚』その他で文壇に登場。翌1930年(昭和5年)に作品集『夜ふけと梅の花』を刊行する。

1938年(昭和13年)、短編小説『ジョン万次郎漂流記』で第6回直木賞を受賞。ユーモア(上品なしゃれ)とペーソス(もの悲しい情緒)を含んだ独特の作風で作家としての地位を確立する。

1956年(昭和31年)、長編小説『漂民宇三郎(ひょうみんうさぶろう)』などで第12回日本芸術院賞を受賞。1966年(昭和41年)、長編小説『黒い雨』で第19回野間文芸賞を受賞。この小説は戦後の庶民の日常生活の中に原爆の問題を捉えた作品である。同年に文化勲章を受章する。

1993年(平成5年)7月10日、肺炎のため死去。95歳。その他の著書に、小説『屋根の上のサワン』(1929年)、『集金旅行』(1937年)、『さざなみ軍記』(1938年)、『多甚古村(たじんこむら)』(1939年)、『本日休診』(1950年)、随筆『早稲田の森』(1971年)などがある。

リンクWikipediaコトバンクふくやま文学館

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カテゴリー「7月の記念日」「今日は何の日

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