秋の味覚として知られる「サツマイモ」の日本における品種の数は90以上にもなり、そのほとんどを国が開発している。
ただし、国内で主に栽培されているサツマイモは約60品種であり、その例として、黄金千貫(こがねせんがん)や紅あずま(べにあずま)、紅はるか(べにはるか)、鳴門金時(なるときんとき)、安納いも(あんのういも)などがある。
野菜全般の中で国が率先して品種改良を行っているのはサツマイモくらいで、国の研究機関である農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)などで品種改良が行われている。国がサツマイモの品種改良を行うのは、サツマイモが異常気象に強い農作物だからである。
江戸時代の飢饉(ききん)や戦中・戦後の食糧難など、サツマイモは何度も国を救ってきた歴史がある。また、近年では海外でも石焼き芋などサツマイモの人気が高まっており、国際的な競争力を高める目的もある。
そんなサツマイモの品種改良には莫大な時間とお金がかかり、サツマイモの種を交配させて取れた種は7年かけて厳選される。その後、安定して栽培できるかの実地試験で3年かかり、新しい品種の開発には合計で約10年もの時間がかかる。
また、研究費や設備費などを合わせると1年間に1億円かかり、品種改良に10年かかると合計で約10億円ものお金が必要となる。このようにサツマイモの品種改良には時間とお金がかかることから、主に国で品種改良が行われている。
ちなみに、サツマイモは収穫した直後よりも寝かせた後のほうが甘く美味しくなる。これはじっくり寝かせている間にデンプンが糖に変化して甘くなるためである。ただし、貯蔵するには13~15℃が適温であり、最近では温度をコンピュータ制御で管理する貯蔵庫も使用されている。
2021/10/17
カテゴリー「食べ物」