1823年(文政6年)のこの日、オランダ商館医となるドイツの医師シーボルト(Siebold、1796~1866年)が日本に初めてピアノを持ち込んだとされる。
この「日本で一番古いピアノ」は山口県萩市の「熊谷美術館」に保存・展示されている。製造されたのは1806年(文化3年)頃のイギリス・ロンドンで、四角いテーブルのような形をしたスクエア型の小型のピアノである。足を外して持ち運ぶこともできる。
熊谷美術館は、萩藩の御用商人・熊谷家の蔵を改造したもので、熊谷家代々の当主が収集した美術品が展示されている。そのピアノは1828年(文政11年)の「シーボルト事件」でシーボルトが帰国する際に、熊谷家に寄贈したものである。
シーボルトのピアノが製造されたのは1820年(文政3年)頃との情報もある。また、そのピアノは長崎で親交のあった4代の熊谷五右衛門義比(くまや ごえもんよしかず)に贈られたものであり、ピアノ内部には「わが友クマヤへお別れのために」という書き付けも残されている。